聴いているうちに、心は別世界へ あなたが求めていた魂を癒す音楽がここにーーー あれは2003年の晩秋、始めてポール・ライドンを聴いた。アイスランドの音楽関係者から「すごくいいから聴いてごらん」と手渡されたのが、このアルバムだった。最初に聴いた時は呆れるほど質素なアルバムだと思った。かつて70年代にシンガー・ソングライターと称される超渋い歌手をかなり聞き込んだ時期があり、渋い作品も数多く聴いてきたつもりだが、それにも増してミニマル・・・。 コマーシャリズムに浸りきった耳にはひどく質素に思えたが、他に特に聴くものも持ち合わせてなかったので、レイキャヴィークに滞在する間、愛用のPower
Bookから流れるポール・ライドンを毎朝聞いた。自分のペースに合わない音楽だと思いつつ、なぜだか分からないが、聞かずにいられなかった。 レイキャヴィークは不思議な都会だ。アイスランドの首都でありながら、どことなく自然の荒涼とした雰囲気も感じ取れるし、それでいて非常に高い文化・文明を誇る。ポールの飾り気のない暖かな歌声とごくシンプルなピアノが織りなす音楽と接していると、意図して癒しを求めなくとも、心の奥の奥にぬくぬくとした暖かさを感じてくる。 心が疲れた時、身体が疲れた時、ふと寂しくなった時、私はポール・ライドンを聴く。さりげなくフワリと魂を暖かく包み込むような、そんな音楽は今までに聞いたことがなかった。そして彼がそのような音楽を作ろうと狙ったわけではないことも、一目瞭然だった。甘ったるいラブ・ソングもなければ、人の心を励ますような内容でもない。ただひたすら、自分の感じるものを曲にして、友人の協力を得てアルバムを作ったーーそんな暖かさが、アルバム全編ににじみ出ているのだ。 そういった感想を抱くのも私だけではないらしく、このアルバムを昨年のマイ・ブームに揚げるアイスランドの音楽関係者も少なくない。このアルバムがホスピスで好評であるというというのも、うなずける話だ。 本国アイスランドでは既にソールドアウトしているアルバムであったが、私がAlljos labelを始めるにあたり、特別に再プレスしてくれた(ありがとう、ポール)。アイスランド直輸入の限定版です。ポール・ライドンが織りなすレイキャヴィークの雰囲気をぜひあなたもゆったりと味わってください。 2004年8月 小倉悠加 |
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